【コミカライズ連載中】➕SS 雲隠れ王女は冷酷皇太子の腕の中〜あなたに溺愛されても困ります!
——大公夫人がお見えになるまでの辛抱……っ。
そう、よね……?
だがアルフォンス大公夫人がどんな人物なのかわからない以上、下手な期待は持ちたくなかった。
彼女たち以上の罵声を浴びることも、熱い紅茶をひっ掛けられる事も……ここで覚悟を固める。
「あら、いつまで頭を下げ続けているの?」
「そうよ。ジルベルト様のお茶役だと仰るならば、きちんと自己紹介をして頂かなければ皆が納得しなくてよ」
マリアが頭を上げようとした時。
胸元にペンダントとして下げていたお守りの『鍵』が、その重みで服の胸元を煌めきながらこぼれ出た。
かまわずに、言われた通り杓子定規な自己紹介をする。
「私は、名をマリアと申します。アルフォンス大公夫人よりご招待いただき、皆様とこの素晴らしいお茶会の席にご一緒させていただく事を光栄に存じます。どうぞ、よろしくお願いいたします」
マリアは気付かない。
令嬢たち皆の視線が、胸元の『鍵』に釘付けになっていたことを。
「ねぇ……あの鍵って、まさか」
「……エタニティ……プロンプト」
誰かが、ごく小さな声で何かをつぶやいた。
再び一礼をして顔を上げれば——マリアを獣のような眼で眺めていた令嬢たちの様子が、さっきまでとは明らかに変わっている。
テーブルはしんと鎮まりかえり、皆が豆鉄砲を喰らったように目を丸くしている。
ある者は扇子をポトリと取り落とし、ある者はポカンと口を開けていたりもする。
「あの、……?」
そう、よね……?
だがアルフォンス大公夫人がどんな人物なのかわからない以上、下手な期待は持ちたくなかった。
彼女たち以上の罵声を浴びることも、熱い紅茶をひっ掛けられる事も……ここで覚悟を固める。
「あら、いつまで頭を下げ続けているの?」
「そうよ。ジルベルト様のお茶役だと仰るならば、きちんと自己紹介をして頂かなければ皆が納得しなくてよ」
マリアが頭を上げようとした時。
胸元にペンダントとして下げていたお守りの『鍵』が、その重みで服の胸元を煌めきながらこぼれ出た。
かまわずに、言われた通り杓子定規な自己紹介をする。
「私は、名をマリアと申します。アルフォンス大公夫人よりご招待いただき、皆様とこの素晴らしいお茶会の席にご一緒させていただく事を光栄に存じます。どうぞ、よろしくお願いいたします」
マリアは気付かない。
令嬢たち皆の視線が、胸元の『鍵』に釘付けになっていたことを。
「ねぇ……あの鍵って、まさか」
「……エタニティ……プロンプト」
誰かが、ごく小さな声で何かをつぶやいた。
再び一礼をして顔を上げれば——マリアを獣のような眼で眺めていた令嬢たちの様子が、さっきまでとは明らかに変わっている。
テーブルはしんと鎮まりかえり、皆が豆鉄砲を喰らったように目を丸くしている。
ある者は扇子をポトリと取り落とし、ある者はポカンと口を開けていたりもする。
「あの、……?」