【コミカライズ連載中】➕SS 雲隠れ王女は冷酷皇太子の腕の中〜あなたに溺愛されても困ります!
 ——正式なご挨拶をすれば、ここにいる人たちは違和感を感じるでしょう……でもっ。

 いくらマリアが下働きを装っているとはいえ、大公夫人を眼前にして頭を下げるだけの非礼で済ませるわけにはいかない。
 改めて大公夫人に向き直ると、今度ばかりは礼儀に従って淑女の礼を取った。

「……アルフォンス大公夫人にご挨拶申し上げます、マリアと申します———…」

 あれほどにマリアを「礼儀知らず」だと罵っていた令嬢たちも、今は当然のようにそれを見ている。
 まるでマリアが、自分たちと違わず礼儀を知る者だと瞬時に認めたかのように。

 ——いったい何が、どうなっているの?!
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