【コミカライズ連載中】➕SS 雲隠れ王女は冷酷皇太子の腕の中〜あなたに溺愛されても困ります!
 どこに目を向けて良いか分からず戸惑うマリアに、令嬢たちが次々と自己紹介さながら名を名乗り始めた。

 —— この中に……ガルヴァリエ公爵令嬢はいない。

 意地悪な態度を一変させたかと思えば、今度は我先にと、まるでマリアに媚を売るような言葉をかけてくる。
 そして彼女らが競うように話すのはリズロッテ王女を非難する言葉だ。

 何がきっかけか分からぬまま、マリアはそんな彼女たちをどこか恐ろしくも感じてしまう。

「本当に厭な()ね……先ほどの話の続きですけれど、リズロッテ王女。彼女は自国が財政難ですの。帝国からの援助を乞うために後宮入りしたのですって。そもそも動機が不純ですわよね?! 皇太子殿下の皇妃になろうと必死でしたけど、公爵令嬢とのご婚約が正式に決まれば希みが絶たれてしまう。元来の弱小国家のご出身ですし、あの方の国は滅びの一途を辿るでしょうね」

 滅びの一途を辿る国。
 マリアは、亡国シャルロワに想いを馳せる。
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