【コミカライズ連載中】➕SS 雲隠れ王女は冷酷皇太子の腕の中〜あなたに溺愛されても困ります!
「ここにいらっしゃる皆様に問いたいのです。おかしいとは思わないのですか?! たかが下女上がりの下賎な女が、属国をまとめ上げる大帝国の皇太子殿下に愛されるなんて……! あなたたちだっておかしいですわ? 本物かどうかも分からぬその女の『鍵』を見た途端に態度を変えたばかりか、媚を売ろうとまでするなんて。得体も知れぬ者に安易に平伏するなど、わたくしは出来ません!」
「リズロッテ王女、言葉を慎みなさい」
「アルフォンス大公夫人っ……あなたも、わたくしと同じお気持ちではないのですか? いくらジルベルト殿下の寵愛を受ける者だとはいえ、殿下が下女出身の女に《《永遠の指示》》を授けるなどっ……」
場が静まりかえり、令嬢たちがそわそわと落ち着きをなくしてゆく。
——よくわからないけれど、この鍵は『エタニティ・プロンプト』……つまりは『永遠の指示をもたらすもの』ということ……??
『鍵』という文言が飛び出したからには、マリアの胸元の『鍵』が文字通りキーワードとなっている事だけは理解ができる。
マリアはただ驚き、どうして良いものかわからぬまま、胸元の『鍵』をぎゅ、と握りしめた。
「リズロッテ王女、あなたの気持ちは分からぬでもありません。ですが、それは今あなたが公言すべき事ではありません。お下がりなさい」
「畏れながら申し上げます。もしもこの女が《《ただの下女ではない》》としたら。その可能性が不確かなものではなくなりますよね?!」
「それは……どういう意味ですか」
「『永遠の指示』を、下女が与えられるのは有り得なくても。この女に《《隠された素性》》があるとすれば、あり得ると言う事です」
「隠された素性、とは? リズロッテ王女、説明なさい」
令嬢たちが目を見開き、無言のまま顔を見合わせる。
しばしの戸惑いを味わったあと、大公夫人と令嬢たちの視線が次に向かったのは——身体中に凍てつくような恐怖を纏い始めたマリアだった。
——やはり、バラ園でリュシエンヌの名を呼んだのは彼女……リズロッテ王女だ。王女はこの場で、私の正体を明かそうとしている——!
「リズロッテ王女、言葉を慎みなさい」
「アルフォンス大公夫人っ……あなたも、わたくしと同じお気持ちではないのですか? いくらジルベルト殿下の寵愛を受ける者だとはいえ、殿下が下女出身の女に《《永遠の指示》》を授けるなどっ……」
場が静まりかえり、令嬢たちがそわそわと落ち着きをなくしてゆく。
——よくわからないけれど、この鍵は『エタニティ・プロンプト』……つまりは『永遠の指示をもたらすもの』ということ……??
『鍵』という文言が飛び出したからには、マリアの胸元の『鍵』が文字通りキーワードとなっている事だけは理解ができる。
マリアはただ驚き、どうして良いものかわからぬまま、胸元の『鍵』をぎゅ、と握りしめた。
「リズロッテ王女、あなたの気持ちは分からぬでもありません。ですが、それは今あなたが公言すべき事ではありません。お下がりなさい」
「畏れながら申し上げます。もしもこの女が《《ただの下女ではない》》としたら。その可能性が不確かなものではなくなりますよね?!」
「それは……どういう意味ですか」
「『永遠の指示』を、下女が与えられるのは有り得なくても。この女に《《隠された素性》》があるとすれば、あり得ると言う事です」
「隠された素性、とは? リズロッテ王女、説明なさい」
令嬢たちが目を見開き、無言のまま顔を見合わせる。
しばしの戸惑いを味わったあと、大公夫人と令嬢たちの視線が次に向かったのは——身体中に凍てつくような恐怖を纏い始めたマリアだった。
——やはり、バラ園でリュシエンヌの名を呼んだのは彼女……リズロッテ王女だ。王女はこの場で、私の正体を明かそうとしている——!