【コミカライズ連載中】➕SS 雲隠れ王女は冷酷皇太子の腕の中〜あなたに溺愛されても困ります!
ただひとり冷静にマリアの発言に耳を傾けていたジルベルトは、一度ゆっくりとまばたきをした後、やれやれ……と嘆息した。
「どうやら我々よりもマリアが一枚上手だったようだな。リズロッテ王女、俺の方も少し頭を冷やす必要がありそうだ。
マリアは非礼への謝罪だと言って俺にあなたへの恩赦を求め、帝国にフォーンへの支援を申し出ている。フォーンの王女として、何か言いたい事はあるか?」
「……フォーンへの支援を、お考えいただけるのでしょうか……」
「その言葉通りだ。不満なのか?」
「不満だなど、滅相もない事でございます……! わたくしは、何とお礼を申し上げれば良いのか……ジルベルト殿下っ」
リズロッテの面輪にはもう、嫉妬や怒りのくすぶりは見えない。
予想もしていなかった展開に、今はただ戸惑うばかりだ。
「リズロッテ王女。フォーンの状況を察し、支援を含めた打開案を提示したのはマリアだ。礼を言う相手を間違えているんじゃないか?」
マリアには、礼を言うべきか、まずは暴言を吐いてしまった事を謝るべきなのか——。
口をぱくぱくさせながら何か言おうとするのだが、熱くなった目頭から零れ落ちる涙の他に、言葉が何も出てこないのだった。
「どうやら我々よりもマリアが一枚上手だったようだな。リズロッテ王女、俺の方も少し頭を冷やす必要がありそうだ。
マリアは非礼への謝罪だと言って俺にあなたへの恩赦を求め、帝国にフォーンへの支援を申し出ている。フォーンの王女として、何か言いたい事はあるか?」
「……フォーンへの支援を、お考えいただけるのでしょうか……」
「その言葉通りだ。不満なのか?」
「不満だなど、滅相もない事でございます……! わたくしは、何とお礼を申し上げれば良いのか……ジルベルト殿下っ」
リズロッテの面輪にはもう、嫉妬や怒りのくすぶりは見えない。
予想もしていなかった展開に、今はただ戸惑うばかりだ。
「リズロッテ王女。フォーンの状況を察し、支援を含めた打開案を提示したのはマリアだ。礼を言う相手を間違えているんじゃないか?」
マリアには、礼を言うべきか、まずは暴言を吐いてしまった事を謝るべきなのか——。
口をぱくぱくさせながら何か言おうとするのだが、熱くなった目頭から零れ落ちる涙の他に、言葉が何も出てこないのだった。