【コミカライズ連載中】➕SS 雲隠れ王女は冷酷皇太子の腕の中〜あなたに溺愛されても困ります!
 そんな彼女たちを一瞥し、唖然と見守る令嬢たちを制すると——アルフォンス大公夫人が立ち上がって身を低くした。

「わたくしの大切な《《教え子》》への恩赦を、心より感謝いたします。殿下がマリアさんにお与えになった『鍵』についても、わたくしからは何も申し上げる事はございません」

「この一件が無ければ、俺は夫人に物申されるところでしたか」

「あなたの母の姉であるわたくしは、言わばあなたの母代わりなのですから当然です……ああ、いえ。マリアさんに関わらず、誰であっても意見はしますわ。ですがマリアさんがその『鍵』を持つほどの器かどうかは、今後も見守らせていただきます」

「相変わらず手厳しいな……!」

 ジルベルトは額に手をやり、長い睫毛を伏せて薄く微笑んだ。

 マリアは改めて胸元の『鍵』を握りしめる。
 これは一体何なのだろうか。

 ジルベルトが言っていた「相手を平伏させる」こと。
 少なくともこの皇城内に於いて何らかの強い効力を持つ物らしい……そう考えると、どこか怖くもある。
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