【コミカライズ連載中】➕SS 雲隠れ王女は冷酷皇太子の腕の中〜あなたに溺愛されても困ります!
 マリアの髪色に合うようにと、淡い桜色から徐々に深みのあるガーネット色へと、幾重にも重なりあったシフォン生地がグラデーションを描き、随所にあしらわれた小花と蝶のモチーフには煌めく宝石が縫い付けられている。
 髪や開いた胸元を飾る装飾品もまた、ドレスに合う素晴らしいものばかりだ。

「……この日のために、こんなにも贅沢で素敵なドレスを作っていただいておきながら、出席をお断りするのは気が引けてしまうわね……」

 爵位も何もなかったのだから、ジルベルトが(おおやけ)にマリアを紹介することは無いだろうけれど。
 舞踏会で皇太子であるジルベルトと少し話すだけでも、皆からの注目を浴びてしまうだろう。

 リズロッテの他にも、リュシエンヌ王女を知る人物が万が一にも紛れていることだって有り得る。
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