【コミカライズ連載中】➕SS 雲隠れ王女は冷酷皇太子の腕の中〜あなたに溺愛されても困ります!
幕間 * 皇太子の想い
*
「皇太子殿下、お待ちください……!」
獅子宮殿に続く回廊を、肩で風を切りながら足早に歩く盛装のジルベルトを、二人の侍従が冷や汗をかきながら追いかけていた。
「煩い、着いてくるなと言っている!」
「ですが……っ、ハンブルグのアムル首相が殿下にご挨拶をとお待ちなのです」
「待たせておけばいい」
「その後はカロヤンのカイル王弟陛下が」
「マクロム公爵夫人もです!」
ジルベルトは秀麗な面輪をみるみる曇らせていくが、かまう事なく歩き続けた。
すると半円をえがく吹き抜けの天井窓から煌々と光が差し込むホールに出る。
本宮付きの侍従はこれより向こう側に立ち入る事ができない——獅子宮殿、皇太子の居住区だ。
——予定より遅くなってしまった。
「皇太子殿下、お待ちください……!」
獅子宮殿に続く回廊を、肩で風を切りながら足早に歩く盛装のジルベルトを、二人の侍従が冷や汗をかきながら追いかけていた。
「煩い、着いてくるなと言っている!」
「ですが……っ、ハンブルグのアムル首相が殿下にご挨拶をとお待ちなのです」
「待たせておけばいい」
「その後はカロヤンのカイル王弟陛下が」
「マクロム公爵夫人もです!」
ジルベルトは秀麗な面輪をみるみる曇らせていくが、かまう事なく歩き続けた。
すると半円をえがく吹き抜けの天井窓から煌々と光が差し込むホールに出る。
本宮付きの侍従はこれより向こう側に立ち入る事ができない——獅子宮殿、皇太子の居住区だ。
——予定より遅くなってしまった。