【コミカライズ連載中】➕SS 雲隠れ王女は冷酷皇太子の腕の中〜あなたに溺愛されても困ります!
「リズロッテ様は確かめておきたかったのですよね……? 私が本当にリュシエンヌなのかを。
 公衆の面前で明かした憶測がもしも違っていたら、国への支援どころか非礼を問われ、断罪されてしまうのですから。
 私はジルベルト殿下のお茶役です。仰るように復讐が目当てなら、何度もチャンスがありました。問われた時に否定をして、正体を誤魔化し続けることもできました。
 私は……この幸せがいつまでも続かないと知っています。
 少しでも長く愛する人のそばにいたい……ただそれだけです。殿下を想う気持ちに嘘偽りはありません」

 マリアの遠い目は、穏やかな微笑みを浮かべたままだ。

『我が寵姫をこんなに怖がらせたのは誰だ……!』

 後宮にまで駆けつけた皇太子の、冷静さを欠いて取り乱す態度や怒りの言葉にも、嘘や偽りは無かった。

 ——皇太子殿下とリュシエンヌ王女は、互いに心から、惹かれあっている……?!
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