【コミカライズ連載中】➕SS 雲隠れ王女は冷酷皇太子の腕の中〜あなたに溺愛されても困ります!
目に映るものに魅入ってしまう。
絞られた腰周りは折れそうなほどに細い。だが居酒屋から連れ出した頃の不健康さはもうどこにも見当たらなかった。
高く結い上げた髪の一部を下ろして緩やかに巻き、片方にだけ垂らしている。
コルセットに押し上げられた胸元はふくらと白く盛り上がり、女性らしい曲線が細い首筋から露出したデコルテに滑らかにつながる。
艶やかな肌はふれれば吸いつきそうだ。
——想像以上。
女性の盛装など見慣れていて、どれもみな同じだと思っていた。
なのに何故だろう。
光り輝く宝石を初めて見た時のように胸は高鳴り、ぎゅ、と掴まれたように胸の奥が痛むのだった。
その胸元に揺れる退紅色の髪の一房を手に取ると、口元に持っていき、そっと唇を寄せて目蓋を閉じる。
「……綺麗だ」
途端、華奢な肩がびくん、と跳ねた。
目を開けてみると、どこか怯えたような目をしたマリアが一歩後ずさる。
——そうか。
皇太子の身分を隠していた事を、先ず謝らねば。
「もう気付いているだろうが……。皇太子はこの俺なんだ。騙すつもりではなかったが、怖がっていたから打ち明けそびれてしまった」
ジルベルトは眉根を寄せ、心許なげに視線をそらせる。
絞られた腰周りは折れそうなほどに細い。だが居酒屋から連れ出した頃の不健康さはもうどこにも見当たらなかった。
高く結い上げた髪の一部を下ろして緩やかに巻き、片方にだけ垂らしている。
コルセットに押し上げられた胸元はふくらと白く盛り上がり、女性らしい曲線が細い首筋から露出したデコルテに滑らかにつながる。
艶やかな肌はふれれば吸いつきそうだ。
——想像以上。
女性の盛装など見慣れていて、どれもみな同じだと思っていた。
なのに何故だろう。
光り輝く宝石を初めて見た時のように胸は高鳴り、ぎゅ、と掴まれたように胸の奥が痛むのだった。
その胸元に揺れる退紅色の髪の一房を手に取ると、口元に持っていき、そっと唇を寄せて目蓋を閉じる。
「……綺麗だ」
途端、華奢な肩がびくん、と跳ねた。
目を開けてみると、どこか怯えたような目をしたマリアが一歩後ずさる。
——そうか。
皇太子の身分を隠していた事を、先ず謝らねば。
「もう気付いているだろうが……。皇太子はこの俺なんだ。騙すつもりではなかったが、怖がっていたから打ち明けそびれてしまった」
ジルベルトは眉根を寄せ、心許なげに視線をそらせる。