【コミカライズ連載中】➕SS 雲隠れ王女は冷酷皇太子の腕の中〜あなたに溺愛されても困ります!
「……そう言えば。ガルヴァリエ公爵令嬢、今日はお見かけしませんね?」
「殿下との婚約が流れてしまってからは、嘘か本当か、お部屋にこもりっきりで絵ばかり描いていらっしゃると聞きましたけれど」

 マリアを置いてけぼりにして会話に花を咲かせるのは彼女たちのお得意だ。
 ジルベルトの婚約者に返り咲くという公爵令嬢の話など、正直、耳の端にでも聞いていたくはなかった。

「見て……フェリクス公爵様よ!」
「え、どこ?!」
「こちらに来られるわ。お話しした〜いっ」

 若くして公爵位を継ぎながら、気さくで話しやすいからだろう。栗色の髪にヘーゼルの瞳の美丈夫は令嬢たちに人気があるようだ。
 マリアにとってフェリクス公爵と言えば——ラムダの学友で、親しい間柄だったという印象しかない。

 ——そう言えば、ラムダも貴族令嬢のはず。舞踏会(ここ)には来ていないのかしら……?

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