【コミカライズ連載中】➕SS 雲隠れ王女は冷酷皇太子の腕の中〜あなたに溺愛されても困ります!
 『近いうちにまた会いましょう』
 固く抱き合ってそう約束をしたけれど、あれから一度も会えていないのだった。

 ——会いたいな……。

 凛とした強い意志を持つラムダに憧れていた。
 彼女の美貌もさることながら、行動力と確かな決断力、そして明晰な頭脳。

 マリアとは正反対の、まるで鏡のようなラムダ。
 そんな彼女だからこそ心から尊敬もしている。
 
「ああっ、殿下に話があるんだ。皆んな、ごめんね」

 嬉々と群がる令嬢たちを押しのけながら、盛装のフェリクスがこちらに向かって歩いて来る。

 いつになく険しいヘーゼルの瞳とマリアの目が合った。
 けれどどこか戸惑う様子を見せ、すぐに視線をそらせてしまう。

 マリアは——その《《違和感》》に首を傾げるしかない。


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