【コミカライズ連載中】➕SS 雲隠れ王女は冷酷皇太子の腕の中〜あなたに溺愛されても困ります!
夢の中で
いたたまれなさで駆け戻った部屋には、ふわふわの毛玉が待っていてくれた。
短い足で一生懸命に歩く仔猫の、すっくと立った長いしっぽの先が揺れながら近づいてくる。
「にゃーん」
皇宮を出るまで何度も帰り道を誤った。
きっと酷い顔色をしていたのだろう。
行く先々で鉢合わせた者たちはみんな、マリアに訝しげな目を向けた。
そのたびに自分は疎外者だと言われているような気がして、なおのこと心が痛んだ。
「ジル……っ」
あたたかな温もりを確かめたくて、子猫を抱き上げる。
柔らかな毛並みに頬を埋めれば、ようやく一人じゃないと思えて少しだけ落ち着いた。
「いてくれて、ありがと……」
「にゃ?」
(どうしたのさ、なんか変だよ、マリア!)
短い足で一生懸命に歩く仔猫の、すっくと立った長いしっぽの先が揺れながら近づいてくる。
「にゃーん」
皇宮を出るまで何度も帰り道を誤った。
きっと酷い顔色をしていたのだろう。
行く先々で鉢合わせた者たちはみんな、マリアに訝しげな目を向けた。
そのたびに自分は疎外者だと言われているような気がして、なおのこと心が痛んだ。
「ジル……っ」
あたたかな温もりを確かめたくて、子猫を抱き上げる。
柔らかな毛並みに頬を埋めれば、ようやく一人じゃないと思えて少しだけ落ち着いた。
「いてくれて、ありがと……」
「にゃ?」
(どうしたのさ、なんか変だよ、マリア!)