【コミカライズ連載中】➕SS 雲隠れ王女は冷酷皇太子の腕の中〜あなたに溺愛されても困ります!
 夢の中のジルベルトは、マリアが望むままの完璧な微笑みを見せてくれる。
 ドレスを脱いだあとは疲れ果てて、掛け布団の上に飛び込んだまま眠ってしまったようだ。

「……夢の中でも優しいのですね。寒いのには慣れているので平気です」
「ん、夢の中?」

 マリアの頬を撫でる指先を、手のひらでそっと包んだ。

「私を癒すあなたの手が、とても愛おしいです」

 自分の夢なのだから何を言っても許されるだろう。
 そう思って微笑めば、ジルベルトの瞳がわずかな揺らぎを見せた。

 凛々しい眉が下がり、口角を上げた唇が短く息を吐く。

 途端、スプリングがぎしりと音を立てた。
 ジルベルトの膝を乗せたマットが深く沈む。
 指先はいつの間にかほどかれ、掴み直されて、そのまま頭の上に縫い止められてしまう。

 組み敷かれた——そう思うよりも早く、柔らかな唇が重なっていた。

 優しいくちづけを甘んじて受け入れていると。
 薄い膚着の上から、片方の胸が大きな手のひらのあたたかさに包まれる。

 ————!!

 初めての刺激に脳天を突かれ、目を見開いた。

 おかしい。
 夢にしては《感覚》がありすぎる……!?


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