【コミカライズ連載中】➕SS 雲隠れ王女は冷酷皇太子の腕の中〜あなたに溺愛されても困ります!
「とうに切り上げてきたよ。夜通し騒ぎたい者たちは朝まで広間に居座るのだろうが」
柱時計は二十三時を少し回ったところだ。
着替えの途中で落ちた眠りは熟睡に変わり、かなりの時間が経っていたことに気付かなかった。
「マリアの顔が見たかった。会いたかったし、会えば触れたくなった。それにあんな可愛い事を言うから……」
秀麗な面輪がぐっと近付いてくちづけられそうになるので、顔を背けていやいやをする。
「でっ、でも、どうして私の、お、お部屋に……っ」
くちづけを拒まれて熱欲が醒めたのだろう。
ジルベルトは仕方なさそうに半身を起こし、寝台のフレームを背にして座った。
立てた膝に片肘をつき、顎に手をあてて考え込むそぶりを見せる。
「……参ったな。これではただの夜這いだ」
《《襲われる》》気配はもうなくて。
組み敷かれていた腕から解放されたマリアはほっとして、ようやく現実の世界を認めたのだった。
柱時計は二十三時を少し回ったところだ。
着替えの途中で落ちた眠りは熟睡に変わり、かなりの時間が経っていたことに気付かなかった。
「マリアの顔が見たかった。会いたかったし、会えば触れたくなった。それにあんな可愛い事を言うから……」
秀麗な面輪がぐっと近付いてくちづけられそうになるので、顔を背けていやいやをする。
「でっ、でも、どうして私の、お、お部屋に……っ」
くちづけを拒まれて熱欲が醒めたのだろう。
ジルベルトは仕方なさそうに半身を起こし、寝台のフレームを背にして座った。
立てた膝に片肘をつき、顎に手をあてて考え込むそぶりを見せる。
「……参ったな。これではただの夜這いだ」
《《襲われる》》気配はもうなくて。
組み敷かれていた腕から解放されたマリアはほっとして、ようやく現実の世界を認めたのだった。