【コミカライズ連載中】➕SS 雲隠れ王女は冷酷皇太子の腕の中〜あなたに溺愛されても困ります!
「勝手に部屋に入ってごめん。ノックをしても返事が無いし、中に入ればジルの様子もおかしかった。寝台で倒れていたから、息してないんじゃないかと焦ったが……眠っているだけだと気付いて安心したよ」

 労るような優しい瞳が、悪戯(いたずら)にマリアの胸元を見遣った。

「その格好は、部屋着? できれば俺の寝所でも《それ》でいて欲しいな」

 透けそうなほどに薄い膚着(ふぎ)の、大きく開いたレースの胸元は二つの丘陵を露わにし、ジルベルトの手にふれられたところはまだ熱を持ったままだ。

 膚着のままだったことをすっかり忘れていた……! 
 はずかしくて頬が火照り、慌てて胸元を両手で掻き抱く。

「ちっ、違います、ちゃんと服を着てます! 今日はたまたま、疲れていたから……」

 ふぅん。と、顔を覗かれる。
 長い睫毛を伏せた色気のある眼差しに腹の奥をくすぐられ、反射的に「くしゅん!」と、くしゃみが出た。

「ほら。風邪をひきそうだ」


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