【コミカライズ連載中】➕SS 雲隠れ王女は冷酷皇太子の腕の中〜あなたに溺愛されても困ります!
「……どうして?」

「私が持っていてはいけない物のような気がするのです。鍵を見た人たちは私に対する態度を変えました。私を見る目が突然に変わったのです。
 もしもこの鍵が何らかの権力と関わりのあるものならば、私が持つべきではありません。私は……ただの、私です。他の何者でもありません」

 両手で握れば、ネックレスのチェーンがしゃらりと音を立てる。
 ジルベルトの手がマリアの拳ごと包み込んだ。

「身の安全のためでもある。鍵を持つ者だとわかれば、マリアを蔑む者はいなくなる。口煩い周囲の者たちに君を認めさせる。そのために与えたのだ」


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