【コミカライズ連載中】➕SS 雲隠れ王女は冷酷皇太子の腕の中〜あなたに溺愛されても困ります!
「ですが私は……そういう事の全てが、おそろしいのです」

「マリア、恐れてはいけない。権力無くして人の上に立つ事はできぬのだ。皇太子が与えた(権力)を持つ者として、俺のそばにいてくれないか?
 誰にも有無は言わせぬ。マリアをそばに居させる為なら、何だって利用する。『鍵』は俺の覚悟だ、だからそのまま持っていて」

「そんなに……権力が大事ですか。
 皆んなが噂をしています。アスガルドの皇太子ジルベルトは、その地位を得るためならば実の兄弟さえも手にかけると。
 冷酷皇太子はセルヴィウス様だけじゃない……あなたも、そうだって……っ」

「今更、君がそれを言うのか」
 ——マリアも、他の奴らと同じ事を言うのか。

「噂が何だ……言いたいだけの者には好きに言わせておけばいい。面と向かって歯向おうとする者は《《切り捨てる》》のみだ」

 ——《《斬って》》、《《捨てる》》。
 簡単に、殺してしまうのですか……?
 兄弟や、シャルロワの王族と同じに。

 命に敬意を払うと言ったあなたは、どこに行ってしまったの……!

「やっぱりあなたは冷酷皇太子だわ……」

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