【コミカライズ連載中】➕SS 雲隠れ王女は冷酷皇太子の腕の中〜あなたに溺愛されても困ります!
11、雲隠れ王女リュシエンヌ
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一睡も眠れぬ夜を明かしたマリアは、昼近い翌朝、子猫を連れてラムダ——ミラルダと二人でよく語り合ったバラ園のテラスに足を運んだ。
年中、気温変動の少ないアスガルド帝都の皇城において、一年を通して咲き誇る大輪の薔薇たち。
主に白と淡い桃色、差し色となる赤、黄色が少し。
みんな誇らしげに揺れている。
呑気な小鳥たちの囀り。
青々とした木々の葉と風の囁き、薔薇の薫り。
再会を果たし、ジルベルトと獅子宮殿で暮らし始めてから三ヶ月ほどになる。
長かったような気もするし、とても短かったような気もする。
「……気持ちいいね、ジル」
柔らかな髪を悪戯な風に遊ばせながら、マリアは空を仰いだ。
いつもと変わらず太陽は輝き、白い雲はゆったりと流れていく。
一睡も眠れぬ夜を明かしたマリアは、昼近い翌朝、子猫を連れてラムダ——ミラルダと二人でよく語り合ったバラ園のテラスに足を運んだ。
年中、気温変動の少ないアスガルド帝都の皇城において、一年を通して咲き誇る大輪の薔薇たち。
主に白と淡い桃色、差し色となる赤、黄色が少し。
みんな誇らしげに揺れている。
呑気な小鳥たちの囀り。
青々とした木々の葉と風の囁き、薔薇の薫り。
再会を果たし、ジルベルトと獅子宮殿で暮らし始めてから三ヶ月ほどになる。
長かったような気もするし、とても短かったような気もする。
「……気持ちいいね、ジル」
柔らかな髪を悪戯な風に遊ばせながら、マリアは空を仰いだ。
いつもと変わらず太陽は輝き、白い雲はゆったりと流れていく。