【コミカライズ連載中】➕SS 雲隠れ王女は冷酷皇太子の腕の中〜あなたに溺愛されても困ります!
「移ろうのは、人間たちの心だけ……」

 だけど移ろうからこそ一瞬が尊く美しく、もう二度と来ないその時を愛しいと思えるのだろう。

 儚い幸せが泡となり、碧い海に溶けてしまおうとも。
 残された者の、《《来るべき時》》に感じる痛みも辛さもきっと、のちに愛おしいと懐かしむ日が来るはずだ。

 シャルロワの王女だった頃から、『光』を見る日など自分には訪れぬと思っていた。
 ただ生きるために過ごした三年間を含めて、陰の存在でしかなかった人生では考えられなかった、奇跡のような出逢い。

 ——ジルベルトは、私の『煌めく光』。

 たとえ彼が敵国の皇太子でも、シャルロワの王族の命を奪った人だったとしても。

 そして私も、彼の手で———。


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