【コミカライズ連載中】➕SS 雲隠れ王女は冷酷皇太子の腕の中〜あなたに溺愛されても困ります!
「顔色が悪いようだな。ジルベルト様……いや、皇太子と喧嘩でもしたか?」

 突然に降ってきた声に驚いて肩が跳ねる。
「にゃあ!」籠の中で丸くなっていたジルがひと鳴きし、起き上がって背中の毛を逆立てた。

 ず、と隣の椅子を引き、背高い気配が腰を下ろす。見上げれば、フェルナンド子爵が薄い笑みを浮かべていた。

「勘違いをするなよ。《《たまたま》》すぐそこを通りがかったら、あなたが見えたものだから。《《たまたま》》声をかけただけだ」

 昨夜ジルベルトが、マリアの身の振りをフェルナンドと決めると言っていた。早々に話がまとまって、何かを告げに来たのかも知れない。


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