【コミカライズ連載中】➕SS 雲隠れ王女は冷酷皇太子の腕の中〜あなたに溺愛されても困ります!
「……何の、ご用でしょうか」
「先に質問をしたのは私だ。今朝、殿下が突然あなたとの《離別》を知らせに来たのでな」
——それで、ご機嫌がよろしいのですね。
言いたかったけれど、ぐ、と堪える。
フェルナンドは揚々と二の句を継ぐ。彼が微笑うところを見たのは初めてだ。
昨夜の舞踏会を経て、獅子宮殿における皇太子の《緘口令》が今朝になってようやく解除されたのだった。
「仲睦まじくワルツを踊ったと聞いた後だったから、正直、驚いたのだ。事情はともかく、要望を知る必要がある。ちょうど良い機会だから、今ここで聞かせてくれ」
「……要望?」
「皇太子の手厚い配慮に感謝するのだな。帝都の近郊に領地と屋敷を与えられ、帝国の庇護のもとで生涯安寧な生活を保障される。使用人の数や屋敷の設備、その他、何か要望はあるか?」
「要望など、何もありません」
「無いと言われても困る。あなたの屋敷だぞ?」
「先に質問をしたのは私だ。今朝、殿下が突然あなたとの《離別》を知らせに来たのでな」
——それで、ご機嫌がよろしいのですね。
言いたかったけれど、ぐ、と堪える。
フェルナンドは揚々と二の句を継ぐ。彼が微笑うところを見たのは初めてだ。
昨夜の舞踏会を経て、獅子宮殿における皇太子の《緘口令》が今朝になってようやく解除されたのだった。
「仲睦まじくワルツを踊ったと聞いた後だったから、正直、驚いたのだ。事情はともかく、要望を知る必要がある。ちょうど良い機会だから、今ここで聞かせてくれ」
「……要望?」
「皇太子の手厚い配慮に感謝するのだな。帝都の近郊に領地と屋敷を与えられ、帝国の庇護のもとで生涯安寧な生活を保障される。使用人の数や屋敷の設備、その他、何か要望はあるか?」
「要望など、何もありません」
「無いと言われても困る。あなたの屋敷だぞ?」