【コミカライズ連載中】➕SS 雲隠れ王女は冷酷皇太子の腕の中〜あなたに溺愛されても困ります!
そんなフェルナンドの言葉の端々には、マリアを不憫に思う気持ちが溢れていた。
「私はこう見えて、時々料理を嗜むのだ……作るほうッ。もし良ければ一度、茶会で振る舞っても……ああ、嫌ならいいんだ。と言うか、今のは全部忘れてくれ……ッ」
「ぇ……忘れたほうが良いのですか?」
「覚えていてくれるなら、それはそれで、良いのだが。とにかく……そういう事だ!」
フェルナンドは形の良い指先で頭を掻き、真っ赤になって俯いてしまう。
そんな彼の仕草に、くすりと笑みがこぼれた。
——たまたまだとか、要望を聞くためだとか仰っていましたが。
皇城を出る私を、こんなふうに慰めに来てくださったのかも知れない。
子爵様はとても不器用なだけで、本当は主君想いの優しい方なのですね。
「私はこう見えて、時々料理を嗜むのだ……作るほうッ。もし良ければ一度、茶会で振る舞っても……ああ、嫌ならいいんだ。と言うか、今のは全部忘れてくれ……ッ」
「ぇ……忘れたほうが良いのですか?」
「覚えていてくれるなら、それはそれで、良いのだが。とにかく……そういう事だ!」
フェルナンドは形の良い指先で頭を掻き、真っ赤になって俯いてしまう。
そんな彼の仕草に、くすりと笑みがこぼれた。
——たまたまだとか、要望を聞くためだとか仰っていましたが。
皇城を出る私を、こんなふうに慰めに来てくださったのかも知れない。
子爵様はとても不器用なだけで、本当は主君想いの優しい方なのですね。