【コミカライズ連載中】➕SS 雲隠れ王女は冷酷皇太子の腕の中〜あなたに溺愛されても困ります!
幕間 * 戦火の日に
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「姫様っ、お逃げくださいまし!! こちらです、さぁお早く……!!」
虚空を裂くような侍女の声、強く手を引かれながら十四歳の少女リュシエンヌは震えあがる。
息つく間も無く押し寄せた恐怖が幼な心をいっぱいにする。
帝国軍の兵士たちは突然にずかずかと塔内に駆け入り、去り際に火を放っていった。
重々しい甲冑を纏った兵士たちは抵抗する使用人を皆殺しにしたが、侍女のリーナとともにクローゼットの奥に隠れていた王女、リュシエンヌ・マリーア・シャルロワはその難を逃れた。
これ以上ないほどに早く、死に物狂いで塔の階段を駆け降りる。息が切れることなど気にしている間はない——燃えさかる炎は、すぐそこにまで迫っている。
「あと少しでございます! 姫様、頑張って……!」
リュシエンヌの手を引くのは、幼い頃から世話をしてくれていた侍女のリーナだ。リーナの白いドレスはもはや煤で真っ黒に汚れ、後頭部に一つにまとめた髪は乱れきっていた。
「姫様っ、お逃げくださいまし!! こちらです、さぁお早く……!!」
虚空を裂くような侍女の声、強く手を引かれながら十四歳の少女リュシエンヌは震えあがる。
息つく間も無く押し寄せた恐怖が幼な心をいっぱいにする。
帝国軍の兵士たちは突然にずかずかと塔内に駆け入り、去り際に火を放っていった。
重々しい甲冑を纏った兵士たちは抵抗する使用人を皆殺しにしたが、侍女のリーナとともにクローゼットの奥に隠れていた王女、リュシエンヌ・マリーア・シャルロワはその難を逃れた。
これ以上ないほどに早く、死に物狂いで塔の階段を駆け降りる。息が切れることなど気にしている間はない——燃えさかる炎は、すぐそこにまで迫っている。
「あと少しでございます! 姫様、頑張って……!」
リュシエンヌの手を引くのは、幼い頃から世話をしてくれていた侍女のリーナだ。リーナの白いドレスはもはや煤で真っ黒に汚れ、後頭部に一つにまとめた髪は乱れきっていた。