【コミカライズ連載中】➕SS 雲隠れ王女は冷酷皇太子の腕の中〜あなたに溺愛されても困ります!
皇太子の低い呟きとともに、甲冑の足がリュシエンヌの狭い視野からすっと消える。
「ははっ!」
意を決したリュシエンヌは、ライデンバーグと呼ばれた男の隙を付いて立ち上がり、そのまま一目散に裏の森を目指して走った。
背後に、ちらと目を向ける。
リュシエンヌのアメジストの瞳に飛び込んできたものは——銀色の羽飾りのついた甲冑から覗く、猛獣のようにらんらんと光るふたつの眼。
リュシエンヌにとって冷徹な薄青い眼は途方もなくおそろしく見え、足がすくみそうになるのを必死で立て直した。
ライデンバーグは「ああっ!?」と大声を上げるが華奢なメイドはすばしこく、見る間に昏い森の方へと走り去ってしまう。
慌てて追おうとするのを、この侵略戦争で帝国軍を率いる若き皇太子、ジルベルト・クローヴィスが制止した。
「待て。ひとたび入れば死の神に憑かれるという『祀の森』だ。たかがメイド一人のために肝を試す必要もあるまい。放っておけ」
「ははっ!」
意を決したリュシエンヌは、ライデンバーグと呼ばれた男の隙を付いて立ち上がり、そのまま一目散に裏の森を目指して走った。
背後に、ちらと目を向ける。
リュシエンヌのアメジストの瞳に飛び込んできたものは——銀色の羽飾りのついた甲冑から覗く、猛獣のようにらんらんと光るふたつの眼。
リュシエンヌにとって冷徹な薄青い眼は途方もなくおそろしく見え、足がすくみそうになるのを必死で立て直した。
ライデンバーグは「ああっ!?」と大声を上げるが華奢なメイドはすばしこく、見る間に昏い森の方へと走り去ってしまう。
慌てて追おうとするのを、この侵略戦争で帝国軍を率いる若き皇太子、ジルベルト・クローヴィスが制止した。
「待て。ひとたび入れば死の神に憑かれるという『祀の森』だ。たかがメイド一人のために肝を試す必要もあるまい。放っておけ」