【コミカライズ連載中】➕SS 雲隠れ王女は冷酷皇太子の腕の中〜あなたに溺愛されても困ります!
それでも。
今にも破裂しそうなほどに大きく重く膨らんでしまったものを、これ以上抱え続けることはできない。
自分の口で、しっかりと伝えなければならない。
「もうご存知かも知れませんが……。あなたに、打ち明けねばならない事があるのです」
強く吹いた風が野花を巻き上げ、木々を揺らす。風の音に負けぬようありったけの声を紡いだ。
「シャルロワの王女リュシエンヌは、私です……!」
崖の手前で立ち止まり、ジルベルトが振り返る。
長い睫毛を伏せてマリアを見遣る怜悧な瞳は、光が差さぬ深海のように昏い影を落とした。
憂いを帯びた面輪に笑みはなく、その眼差しは思わず怯んでしまうほどに鋭い。
「ジルベルト……?」
見たことないほど剣呑な光を宿した眼差しに、戸惑うマリアの身体が硬くなる。
一度だけゆっくりとまばたきをしたジルベルトが、意を決したように短く息を吐いた——そして。
今にも破裂しそうなほどに大きく重く膨らんでしまったものを、これ以上抱え続けることはできない。
自分の口で、しっかりと伝えなければならない。
「もうご存知かも知れませんが……。あなたに、打ち明けねばならない事があるのです」
強く吹いた風が野花を巻き上げ、木々を揺らす。風の音に負けぬようありったけの声を紡いだ。
「シャルロワの王女リュシエンヌは、私です……!」
崖の手前で立ち止まり、ジルベルトが振り返る。
長い睫毛を伏せてマリアを見遣る怜悧な瞳は、光が差さぬ深海のように昏い影を落とした。
憂いを帯びた面輪に笑みはなく、その眼差しは思わず怯んでしまうほどに鋭い。
「ジルベルト……?」
見たことないほど剣呑な光を宿した眼差しに、戸惑うマリアの身体が硬くなる。
一度だけゆっくりとまばたきをしたジルベルトが、意を決したように短く息を吐いた——そして。