【コミカライズ連載中】➕SS 雲隠れ王女は冷酷皇太子の腕の中〜あなたに溺愛されても困ります!
何を望まれているのかわからずに戸惑っていると、マリアをまっすぐに見つめたジルベルトが静かに言葉を継いだ。
「今度は俺がマリアを救う番だと言ったはずだ。さあ……誰も見ていないぞ。遠慮は要らない。
この場所をフェルナンド以外に知る者はいない。俺を殺して復讐を果たし、馬で街道に出れば逃げ切れる。
今こそ、君の家族の仇を取れ」
すまないフェルナンド……。
ジルベルトの声にならない声が、風に流れた。
——この命、マリアが望むのなら喜んで捧げよう。
二人の兄を処刑し成り上がった皇太子が、愚かだ、無責任だと語り継がれるのだとしても。愛する人のために全てを捨てるのが愚かな罪ならば、その罪は死して償おう。
形の良い唇が緩やかな弧をえがく。
二つの瞳からは鋭さが消え、代わりに労わるような優しさが滲んでいた。
剣の柄を向けたまま、ジルベルトはゆっくりと目を閉じる——マリアに全てを委ねるように。
「今度は俺がマリアを救う番だと言ったはずだ。さあ……誰も見ていないぞ。遠慮は要らない。
この場所をフェルナンド以外に知る者はいない。俺を殺して復讐を果たし、馬で街道に出れば逃げ切れる。
今こそ、君の家族の仇を取れ」
すまないフェルナンド……。
ジルベルトの声にならない声が、風に流れた。
——この命、マリアが望むのなら喜んで捧げよう。
二人の兄を処刑し成り上がった皇太子が、愚かだ、無責任だと語り継がれるのだとしても。愛する人のために全てを捨てるのが愚かな罪ならば、その罪は死して償おう。
形の良い唇が緩やかな弧をえがく。
二つの瞳からは鋭さが消え、代わりに労わるような優しさが滲んでいた。
剣の柄を向けたまま、ジルベルトはゆっくりと目を閉じる——マリアに全てを委ねるように。