【コミカライズ連載中】➕SS 雲隠れ王女は冷酷皇太子の腕の中〜あなたに溺愛されても困ります!
政治・軍事、人生経験に至るまでジルベルトよりもはるかに見聞《けんぶん》のある人物だ。
いくら皇太子だとはいえ、自分は彼にとってみれば若輩者に違いなく。そんな彼ら年長者への振る舞いはジルベルトとて心得ている。
自主的に立ち上がり、相手に拝礼される前に軽く頭を下げた。
「これはこれは。皇太子殿下が直々にご足労くださるとは。さぞや後ろめたい事を腹に抱えて来られたのであろろうな」
皮肉めいた公爵の挨拶が場の緊張を一気に高める。
シャルロワの王女リュシエンヌとの結婚は、すでに公爵の耳にも届いているに違いなかった。
「お座りになられよ……! あなたは皇太子だ。私ごとき一介の貴族に気を遣うものではない」