【コミカライズ連載中】➕SS 雲隠れ王女は冷酷皇太子の腕の中〜あなたに溺愛されても困ります!
回転式の小さな丸椅子に座っていたミラルダは立ち上がり、慣れた所作でカーテシーを披露した。
「いらしてくださって有難う。ご挨拶申し上げますわ、次代の皇太子妃殿下」
——ミラルダ……っ
顔を合わせるのは祝賀式典の舞踏会以来だ。
マリアを案じる彼女の切なる想いを汲み取った今、駆け寄ってすぐにでもハグしたい衝動に駆られるが、ぐ、と堪えた。
——私には伝えなければならない言葉がある。
うやむやにしたままでは、ミラルダの想いを台無しにしてしまう……!
続いてマリアが淑女の礼を取る。
ミラルダは目を見張った。以前の卑屈さなど微塵も感じさせぬほど、優雅で堂々としていたからだ。