【コミカライズ連載中】➕SS 雲隠れ王女は冷酷皇太子の腕の中〜あなたに溺愛されても困ります!
ミラルダとリュシエンヌ
「あなたは言いました。ジルベルト殿下を強かに奪えと。私は途方に暮れました、何も持たない自分に何が出来るのかって……。でもミラルダが言った『奪え』という言葉の真意は、そういう事じゃなかった」
穏やかな語調で、だが迷いなく堂々と紡がれていく声を、ミラルダは身じろぎもせずに聞いている。
「黙っていては納得したことになってしまう。自分の気持ちを相手に伝えること、自分が決めた決断を信じること、自分の心を信じること、相手を信じ抜くこと。ミラルダ……あなたは私に足りないものを教えてくれたのですよね?」
ミラルダの胸が熱くなる。
祈るように放った想いを、信頼するマリアは汲み取ってくれていた。
舞踏会の日に囁いた言葉通りに受け取られてしまっていたら、マリアが言う『宣戦布告』の意味も違っていただろう。