【コミカライズ連載中】➕SS 雲隠れ王女は冷酷皇太子の腕の中〜あなたに溺愛されても困ります!
「マリア……っ」

「尊敬するあなたに思い切って言います、これは宣戦布告だと。私は必ず、あなたに負けないような『強い意志』を持った女性になります。ですから、あなたと……切磋琢磨させてほしいのです。戦わせて欲しいのです。ミラルダっ……これからもずっと——私の、良きライバルでいてくれますか?」

 言葉尻こそ強いがマリアの面輪に剣はなく、薔薇の花弁の唇は緩やかな弧をえがく。
 呆気に取られていたミラルダだが、ややあって、ふ、と口元を緩ませた。

「わたくしには『強い芯』が無かった。公爵令嬢という出自の宿命だと諦めて、お父様に言われるがままの人生を送るものだと流されるまま。
 でもマリア。あなたと出会って、わたくしも変われたのよ? 画家になりたいという夢を、私の折れない『芯』にしようって決めたの」

 ——お父様に初めて打ち明けたの、画家になりたいって。
 お父様、言ってくださったのよ……「それでいい」って。
 このアトリエで好きなように絵を描きながら、女公爵になって公爵家を継げばいいって。


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