【コミカライズ連載中】➕SS 雲隠れ王女は冷酷皇太子の腕の中〜あなたに溺愛されても困ります!
 そもそも愛娘ミラルダは皇妃になる事など望んでいなかった。画家になりたいなんて夢見がちな事を言っているが、利発な娘だ。親が膳立てをせずとも自ら相応の相手を選ぶだろう。

 リュシエンヌ王女は人嫌いのミラルダに「尊敬する」とまで言わせた稀有(けう)な女性だ。王女の力量に私も期待している。あなたがた二人と帝国の発展のためだ、尽力するつもりだよ。』

 そして呆気に取られるジルベルトを揶揄うように、ガルヴァリエ公爵は付け加えたのだった。

『そう言えば娘は《《こう》》も言っていたな。
 あの冷徹な皇太子が、リュシエンヌ王女の事となれば腑抜けになるのだと。』


「…………ッ」

 紅潮した頬を手のひらで覆う。
 ミラルダはともかく公爵まで何を言うのかとも思うが——(おおむ)ね事実だ。


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