【コミカライズ連載中】➕SS 雲隠れ王女は冷酷皇太子の腕の中〜あなたに溺愛されても困ります!
「マリアが俺を幸せにしてくれるのか……ふっ、それは心強いな。有難う。こんなに嬉しい言葉は無いよ」
 
 抱え続けていた鬱屈の全てを打ち明け、顔を上げて微笑んだ面輪はまるで憑き物が落ちたような清々しさを纏う。
 それはジルベルトの心に巣食う闇と狂気の解放でもあった。


 馬車の車窓から明るい光が舞い込んで来る。
 心地よい揺れのなか、陽光の眩しさに目を細める秀麗な面輪は神々しくて、初めて見惚れた牢の中のあの夜と変わらず、とても綺麗で——。

「どうかした?」 
「 ぃぇ……カッコいいなって……見惚れてしまって」

 言っておきながら恥ずかしくなって俯いてしまう。

「えっと、それは。惚れ直してくれたってこと?」


 ——あなたは眩しすぎて。
 胸が苦しくなるほどのこの温もりを、もう手放せそうにありません。


「惚れ直さなくてもずっと惚れています。好きです……大好き……!」

 手を伸ばしてジルベルトの首筋に飛びついた。
 自分からこんな大胆な事をしたのは初めてだ。

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