猛禽令嬢は王太子の溺愛を知らない
「ミリナ嬢をいじめたなんて、ミリナ嬢本人がそう言ったのかい?アリアナにいじめられたって」
「い、いいえ」
フリードリヒの言葉に、女子生徒が呆然と返す。彼女たちは、今見ている光景が信じられないようだった。
「ミリナ嬢は、アリアナに貴族になるためのアドバイスをもらった、と言っていたよ。そもそも、ミリナ嬢は卒業式の答辞にアリアナへの賛辞と感謝を原稿用紙100枚分つづっていたんだ。そんなミリナ嬢がアリアナを嫌いだと思う?嘘だと思うなら、ミリナ嬢に直接聞いてみればいい」
「……ア……御前、失礼します……!」
礼をとって女子生徒たちが走り出す。
おそらく、フリードリヒの言葉通り、ミリナに直接聞きに行くのだろう。