空に咲く花を見上げる、その相手は君以外ありえないから
彼女のバックに映る花火 ー律(りつ) sideー
「わっ、きれい!」

朱璃は打ち上がる花火に言葉を漏らす。


「だな。」

素っ気ないように聞こえるがこれは照れているのを隠すため。


『花火よりもお前の方がきれーだよ。』

なんてキザなセリフ俺が言ったら笑われそうだな。


「ねぇみてた!? 今の花火やばかった!」

興奮気味に声を上げて俺を振り返る。


それと同時に彼女が着ている浴衣の袖がふわりと風になびいた。


「好きだ……」


はっと気づいた時には遅かった。

しまった。今言うつもりなんかなかったのに。

< 1 / 27 >

この作品をシェア

pagetop