空に咲く花を見上げる、その相手は君以外ありえないから
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「好きだ…」

それは、ほんとに小さな声だった。

でも回想から引き戻されるくらい、私には大きな声に聞こえた。

今の声、絶対に律くんだ。

聞き間違えるはずがない。

私の位置からだと律くんの表情を見ることが出来ない。

それでも焦っている様子が伝わる声。


「あっ…」

つぶやくと同時に目の前が透明な膜で覆われていく。


慌てて顔を上に向けると、空に映る花火は色を塗るのに失敗した水彩画みたいに輪郭も色もぼやけていた。

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