貴公子アドニスの結婚
その晩、花嫁の寝室で夫の訪れを待っていた新妻は、なんとも儚く美しかった。
肌の透けそうな白いレースの寝衣をまとい、ベッドの上に座っている妻を見た時、アドニスは爆発しそうになった。
寝衣からのぞく白い肩は芳しい香りがしそうで、ふるいつきたくなる。
アドニスは妻に駆け寄ると、そのまま押し倒した。
本能のままに、花嫁を貪り尽くす。
優しくしてやろうなどと思った考えは、もうすっかり頭から飛んでいた。

なんのことはない。
アドニスにとっても彼女は初めての女性だったのだ。
自分より美しくない女を認めないアドニスは女性と関係を持ったことがなかった。
潔癖なため、娼館に行くことなどももちろんない。
敬愛する王太子妃フィリア以外の女性に、食指が動くなどあり得なかったから。
しかしフィリアはあくまで崇高の対象であって、醜い欲の対象ではない。
正真正銘、抱きたいと思ったのは妻が初めてであった。

アドニスは初めて知る女性の体に溺れた。
そして初めて知る夜の営みに…、アドニスは開花した。
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