貴公子アドニスの結婚
「今日は十回目のプロポーズだよ」
アドニスはニケの前に、指輪とアネモネの花を一輪差し出した。
アネモネはニケの好きな花。
指輪は、離縁したあの日、ニケが自分の指から外してアドニスに返してきた結婚指輪だ。
「結婚はもう懲り懲りですわ」
とニケは笑う。
仕事も私生活も充実している今、ニケは幸せを感じている。
アドニスとの距離感も、今が一番心地いいのだ。
先のことはわからないが、今はまだこのままの関係でいたいと思う。
約三年間の結婚生活を我慢したニケは、欲しいものを手に入れた。
可愛い子どもたちと。
やりがいのある仕事と。
だから本当に強かだったのは、きっとアドニスじゃなくて自分の方だ。
「ありがとうございます、公爵様。お花だけいただきますわ」
ニケはアドニスの手から花だけを受け取ると、艶やかに微笑んだ。
「ご両親にどうぞよろしくお伝えください。貴方様もどうぞ、お幸せに」
寂しそうに元妻の後ろ姿を見送るアドニスを振り返りもせず、ニケは軽やかに仕事に戻って行った。
♡おしまい♡
アドニスはニケの前に、指輪とアネモネの花を一輪差し出した。
アネモネはニケの好きな花。
指輪は、離縁したあの日、ニケが自分の指から外してアドニスに返してきた結婚指輪だ。
「結婚はもう懲り懲りですわ」
とニケは笑う。
仕事も私生活も充実している今、ニケは幸せを感じている。
アドニスとの距離感も、今が一番心地いいのだ。
先のことはわからないが、今はまだこのままの関係でいたいと思う。
約三年間の結婚生活を我慢したニケは、欲しいものを手に入れた。
可愛い子どもたちと。
やりがいのある仕事と。
だから本当に強かだったのは、きっとアドニスじゃなくて自分の方だ。
「ありがとうございます、公爵様。お花だけいただきますわ」
ニケはアドニスの手から花だけを受け取ると、艶やかに微笑んだ。
「ご両親にどうぞよろしくお伝えください。貴方様もどうぞ、お幸せに」
寂しそうに元妻の後ろ姿を見送るアドニスを振り返りもせず、ニケは軽やかに仕事に戻って行った。
♡おしまい♡