幸せの価値
人は









母がガンになった。









まだ死ぬ歳じゃあない。






俺はそれを人前では平気なふりをして笑いにすらした。










心では泣いた。










思えば常に虚勢を張りつづけた人生だ。










いまさら泣き崩れられない。












そんなダサい事誰がするもんか。












いつものように誰もいない西日の入るハイツで鍋ごとインスタントラーメンをすする。







ただ気付けばいつもは鍋に入れる卵を入れようとして手を止める。









気付けば結局、母親が退院するまで卵は入れなかった。
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