花婿が差し替えられました
ある日ルイーズは、侍女から面白い話を耳にした。
コラール侯爵家三男のレイモンが、義妹であるアリスに色目を使っているというのだ。
それはアリスが既婚者であるくせにあちらにもこちらにも良い顔をするからレイモンが勘違いしたというもので、そのせいでレイモンと婚約していた男爵令嬢は婚約解消をされたらしい。
侍女はレイモンが婚約解消した男爵家の令嬢と縁が深かったため令嬢を庇ってアリスを悪く言っていたようだが、ルイーズにそんなことはわからない。
侍女が話す噂話を全て事実と受け止めた。
元々ナルシスとの破談でクロードが身代わりになったのは知っていたが、レイモンの話は初耳だったので、ルイーズは興味深く聞いた。
それにナルシスだって、未だにアリスに未練たらたらだというではないか。

「アリスって、思ったよりずっと嫌な女だったのね」
ルイーズはそうひとりごちた。
クロードという夫がいながらその兄たちと不適切な噂が流れるなんて、アリスに問題があるからに違いない。
そんな女と結婚して縛られているなんて、クロードが可哀想だ。
ならば、やはりクロードから引き離してやらなければ。
< 109 / 156 >

この作品をシェア

pagetop