花婿が差し替えられました
王宮のエントランスには、貴族家の馬車が列を成していた。
地位の高い家の馬車から順に、主人を待っているのだ。
そんな中、サンフォース家の馬車もまた列の中程で並んでいて、クロードはエントランス付近でアリスが現れるのをしばらく待っていた。
しかし、どんどん貴族たちが出て来て馬車が減って行っても、なかなかアリスは現れない。
元々会合の後王太子妃に顔を見せてから帰ると言っていたから多少遅くなるとは思っていたが、それにしても約束の時間を過ぎても現れないアリスに、クロードはだんだんおかしいと思うようになってきた。
アリスはクロードが迎えに来ることも、その後食事に行くことも楽しみにしていたはずなのだ。
なのに、何の言伝もなく遅れるのは、誰に対しても必ず約束を守ろうとする彼女の性格からいってもおかしい。
いっそ王太子宮まで迎えに行きたかったが、一介の騎士である、しかも特に今日はサンフォース家の護衛でしかないクロードが王太子夫妻の宮に足を踏み入れるわけにもいかない。
仕方なくエントランス付近を守っていた騎士を通じて王太子妃に言伝を頼んだのだが、なんと、王太子妃からは『待っていたがアリスは来なかった』という返答があった。
(絶対におかしい…!)
心配でたまらなくなったクロードは、馬車の御者にこのままここで待つように言い、自分は騎士の宿舎に急いだ。
宿舎の部屋には隊服があるから、それを着れば少しは王宮内を自由に歩き回れると考えたのだ。
隊服に着替えて宿舎を飛び出したところで、クロードは同僚の騎士と出会い頭にぶつかりそうになった。
クロードも急いでいたからだが、相手も慌てるように駆け込んできたところだったからだ。
一瞬その顔が見えて違和感を感じたが、時間の惜しいクロードは「悪い」とだけ言ってその場を去った。
地位の高い家の馬車から順に、主人を待っているのだ。
そんな中、サンフォース家の馬車もまた列の中程で並んでいて、クロードはエントランス付近でアリスが現れるのをしばらく待っていた。
しかし、どんどん貴族たちが出て来て馬車が減って行っても、なかなかアリスは現れない。
元々会合の後王太子妃に顔を見せてから帰ると言っていたから多少遅くなるとは思っていたが、それにしても約束の時間を過ぎても現れないアリスに、クロードはだんだんおかしいと思うようになってきた。
アリスはクロードが迎えに来ることも、その後食事に行くことも楽しみにしていたはずなのだ。
なのに、何の言伝もなく遅れるのは、誰に対しても必ず約束を守ろうとする彼女の性格からいってもおかしい。
いっそ王太子宮まで迎えに行きたかったが、一介の騎士である、しかも特に今日はサンフォース家の護衛でしかないクロードが王太子夫妻の宮に足を踏み入れるわけにもいかない。
仕方なくエントランス付近を守っていた騎士を通じて王太子妃に言伝を頼んだのだが、なんと、王太子妃からは『待っていたがアリスは来なかった』という返答があった。
(絶対におかしい…!)
心配でたまらなくなったクロードは、馬車の御者にこのままここで待つように言い、自分は騎士の宿舎に急いだ。
宿舎の部屋には隊服があるから、それを着れば少しは王宮内を自由に歩き回れると考えたのだ。
隊服に着替えて宿舎を飛び出したところで、クロードは同僚の騎士と出会い頭にぶつかりそうになった。
クロードも急いでいたからだが、相手も慌てるように駆け込んできたところだったからだ。
一瞬その顔が見えて違和感を感じたが、時間の惜しいクロードは「悪い」とだけ言ってその場を去った。