花婿が差し替えられました
「…男の嫉妬は見苦しいな」
クロードもオーヴを挑発するように笑った。
本当はこんな馬鹿げたやり取りをしている時間も惜しいのだが、コイツの口を割らせないことには、広い王宮のどこを探したらいいのか見当もつかない。
案の定、オーヴは眉を上げ、クロードを睨んだ。
「おまえは欲張りだ、クロード。王女殿下から寵愛された上、才色兼備の妻だと?」
「…だからアリスを拉致したのか?」
オーヴはその問いには答えず、薄く笑った。
苛ついたクロードは、剣の柄に手をかけた。
それを見ていたオーヴが、またへらりと笑う。
「俺を脅しても無駄だぞ、クロード。俺はルイーズ王女殿下ただ一人に忠誠を捧げている。だいたいおまえだって、女伯爵の夫である前に、王女殿下の騎士だろう」
「…ああ、たしかに俺は殿下の騎士だ。だが、殿下が間違った道に進もうとも盲目的に忠誠を捧げるのとは違う。それなら俺は、騎士失格でもいい」
「馬鹿な…、どっちにしろ、俺たち護衛騎士が王女殿下の命令に逆らえるわけがないだろうが」
剣に手をかけたクロードをハッタリだと見るオーヴは、ニヤニヤ嫌な笑みを浮かべたまま明後日の方を向いた。
(コイツ…、何としても言わないつもりか)
クロードは手を剣の柄に置いたまま唇を噛んだ。
最近浮かれすぎていたという自覚がある。
だから、自分に執着しているルイーズ王女がアリスに危害を加える可能性など考えもしなかった。
そう、伯爵家の商売敵や事業の反対派から守ってさえいれば大丈夫だと、騎士である自分の力を過信していたのだ。
危険は、こんなすぐ側にあったのに。
クロードもオーヴを挑発するように笑った。
本当はこんな馬鹿げたやり取りをしている時間も惜しいのだが、コイツの口を割らせないことには、広い王宮のどこを探したらいいのか見当もつかない。
案の定、オーヴは眉を上げ、クロードを睨んだ。
「おまえは欲張りだ、クロード。王女殿下から寵愛された上、才色兼備の妻だと?」
「…だからアリスを拉致したのか?」
オーヴはその問いには答えず、薄く笑った。
苛ついたクロードは、剣の柄に手をかけた。
それを見ていたオーヴが、またへらりと笑う。
「俺を脅しても無駄だぞ、クロード。俺はルイーズ王女殿下ただ一人に忠誠を捧げている。だいたいおまえだって、女伯爵の夫である前に、王女殿下の騎士だろう」
「…ああ、たしかに俺は殿下の騎士だ。だが、殿下が間違った道に進もうとも盲目的に忠誠を捧げるのとは違う。それなら俺は、騎士失格でもいい」
「馬鹿な…、どっちにしろ、俺たち護衛騎士が王女殿下の命令に逆らえるわけがないだろうが」
剣に手をかけたクロードをハッタリだと見るオーヴは、ニヤニヤ嫌な笑みを浮かべたまま明後日の方を向いた。
(コイツ…、何としても言わないつもりか)
クロードは手を剣の柄に置いたまま唇を噛んだ。
最近浮かれすぎていたという自覚がある。
だから、自分に執着しているルイーズ王女がアリスに危害を加える可能性など考えもしなかった。
そう、伯爵家の商売敵や事業の反対派から守ってさえいれば大丈夫だと、騎士である自分の力を過信していたのだ。
危険は、こんなすぐ側にあったのに。