花婿が差し替えられました
しかしナルシスは小さく笑うと首を横に振った。
「僕はたしかに女の子大好きだけど、相手の同意なしにそんなことしないよ。僕はアリスが大好きだし、本当は君と気持ちいいことしたいとも思ってる。でも、嫌がる君を押し倒してまでしたいとは思わない。それは、僕の美学に反するんだ」
「美学…」
ミツバチのナルシスに美学があったとは驚きだ。
だがたしかに、婚約中アリスに触れたがってはいたが、無理矢理関係を迫るようなことはしなかった…と思う。
まぁ、だいぶ際どくはあったが…。
「…本当に?信じていいの?」
「信じてよアリス。本当にそういうことは、互いの同意がなければしないよ」
「そう…。貴方、思ってたよりは常識人だったのかしら」
「そういうアリスは思ってたよりかなり失礼な人だよね。それに、全然淑女っぽくないし」
色々問いただしたいところであるが、彼なりの美学があったとは天の助けである。
「わかったわナルシス。私、貴方を信じる」
アリスはそう言うとやっと花瓶を下ろした。
そしてつかつかと彼の方へ歩み寄ると、布団を捲り上げ、シーツを引き裂いた。
「うわ、何するの?アリス!」
「当然、この窓から逃げるのよ」
「何言ってるの、ここは三階じゃないか!」
「ええ。そうみたいね。さっき確認したわ」
アリスは窓を開けた一瞬でここが三階の高さであると確認した。
だからシーツを引き裂き、結びつけ、それを伝ってここから逃げようと言うのだ。
「えー、じゃあ窓から叫んで助けを呼べばいいじゃないか」
「馬鹿ね。そんなの自ら醜聞を撒き散らすようなものでしょ」
「でも危ないよー、アリス。僕本当に何もしないからさ、助けが来るまで待っていようよ。きっとそのうち誰かが気づいてくれるよ」
「冗談じゃないわ。待っていられないわよ、そんなの」
誰かが気づいたら、それは醜聞の始まりの時だ。
アリスはおとなしくそれを待っている気はない。
「私は逃げるわよ。貴方はどうする?ナルシス」
「えー、僕は嫌だよ。顔に傷でもついたらどうするのさ」
「そう。じゃあ私一人で逃げるわね」
別にナルシスが一人でここに残るのは問題ないだろう。
コラール家にとっては問題かもしれないが、それはアリスが心配することじゃない。
「僕はたしかに女の子大好きだけど、相手の同意なしにそんなことしないよ。僕はアリスが大好きだし、本当は君と気持ちいいことしたいとも思ってる。でも、嫌がる君を押し倒してまでしたいとは思わない。それは、僕の美学に反するんだ」
「美学…」
ミツバチのナルシスに美学があったとは驚きだ。
だがたしかに、婚約中アリスに触れたがってはいたが、無理矢理関係を迫るようなことはしなかった…と思う。
まぁ、だいぶ際どくはあったが…。
「…本当に?信じていいの?」
「信じてよアリス。本当にそういうことは、互いの同意がなければしないよ」
「そう…。貴方、思ってたよりは常識人だったのかしら」
「そういうアリスは思ってたよりかなり失礼な人だよね。それに、全然淑女っぽくないし」
色々問いただしたいところであるが、彼なりの美学があったとは天の助けである。
「わかったわナルシス。私、貴方を信じる」
アリスはそう言うとやっと花瓶を下ろした。
そしてつかつかと彼の方へ歩み寄ると、布団を捲り上げ、シーツを引き裂いた。
「うわ、何するの?アリス!」
「当然、この窓から逃げるのよ」
「何言ってるの、ここは三階じゃないか!」
「ええ。そうみたいね。さっき確認したわ」
アリスは窓を開けた一瞬でここが三階の高さであると確認した。
だからシーツを引き裂き、結びつけ、それを伝ってここから逃げようと言うのだ。
「えー、じゃあ窓から叫んで助けを呼べばいいじゃないか」
「馬鹿ね。そんなの自ら醜聞を撒き散らすようなものでしょ」
「でも危ないよー、アリス。僕本当に何もしないからさ、助けが来るまで待っていようよ。きっとそのうち誰かが気づいてくれるよ」
「冗談じゃないわ。待っていられないわよ、そんなの」
誰かが気づいたら、それは醜聞の始まりの時だ。
アリスはおとなしくそれを待っている気はない。
「私は逃げるわよ。貴方はどうする?ナルシス」
「えー、僕は嫌だよ。顔に傷でもついたらどうするのさ」
「そう。じゃあ私一人で逃げるわね」
別にナルシスが一人でここに残るのは問題ないだろう。
コラール家にとっては問題かもしれないが、それはアリスが心配することじゃない。