花婿が差し替えられました
(あれは…!)
クロードが後宮の裏手に回った瞬間、紐のような物がぶら下がっているのを発見した。
目線を上げると、三階辺りの窓かと思われる所から下がっていて、途中に何かヒラヒラしたものがぶら下がっている。
高さで言えば、二階より少し高いくらいの位置だ。
(まさか…!)
ドレスの裾を切ったのか白い足を剥き出しにして紐にぶら下がっている女性…、そう、それは、正しくクロードの妻アリスの姿だった。
「アリス!」
クロードはアリスの真下付近に急いだ。
その時、ビッと紐が嫌な音を立てる。
あきらかにアリスが掴んでいる辺りの紐が細くなっていて、切れそうになっているのがわかる。
(間に合ってくれ…!)
クロードがさらに全速力で走る最中にも、紐は嫌な音を鳴らし続けた。
そしてとうとう紐は耐え切れずに千切れた。
「きゃあ!!」
「アリス…!」
クロードはアリスの落下地点と思しき場所に向かって両手を広げ、突っ込んだ。
ドッ!!
一瞬の後、アリスはクロードの腕の中にいた。
クロードは落ちてくるアリスを、危機一髪受け止めたのだ。
「ああ、アリス…」
クロードはアリスをギュッと抱きしめたまま、その場に座り込んだ。
「…旦那様…?」
未だに何が起きたのかよく把握していないアリスは目を丸くしている。
「ああ、アリス、良かった…」
クロードの声が震えている。
その声と強い抱擁に、アリスはようやくクロードが落ちた自分を受け止めてくれたのだと理解した。
「旦那様、私…」
「ああ、怪我は⁈怪我はない?アリス」
「ええ……。私は大丈夫です。助けてくれて、ありがとう、旦那様」
「よかった、本当によかった…」
アリスを抱きしめる腕も声も震えているクロードに、アリスの胸には申し訳ない気持ちと、それ以上にあたたかい気持ちが広がった。
だからアリスも、クロードの首に腕を回した。
そして、彼の抱擁に負けないくらい強く、抱きついたのだ。
かくして、アリスの身体と純潔は守られた。
後にクロードはこの時のことを、『降ってきた妻』ならぬ、『舞い降りた天使』のようだったと話している。
クロードが後宮の裏手に回った瞬間、紐のような物がぶら下がっているのを発見した。
目線を上げると、三階辺りの窓かと思われる所から下がっていて、途中に何かヒラヒラしたものがぶら下がっている。
高さで言えば、二階より少し高いくらいの位置だ。
(まさか…!)
ドレスの裾を切ったのか白い足を剥き出しにして紐にぶら下がっている女性…、そう、それは、正しくクロードの妻アリスの姿だった。
「アリス!」
クロードはアリスの真下付近に急いだ。
その時、ビッと紐が嫌な音を立てる。
あきらかにアリスが掴んでいる辺りの紐が細くなっていて、切れそうになっているのがわかる。
(間に合ってくれ…!)
クロードがさらに全速力で走る最中にも、紐は嫌な音を鳴らし続けた。
そしてとうとう紐は耐え切れずに千切れた。
「きゃあ!!」
「アリス…!」
クロードはアリスの落下地点と思しき場所に向かって両手を広げ、突っ込んだ。
ドッ!!
一瞬の後、アリスはクロードの腕の中にいた。
クロードは落ちてくるアリスを、危機一髪受け止めたのだ。
「ああ、アリス…」
クロードはアリスをギュッと抱きしめたまま、その場に座り込んだ。
「…旦那様…?」
未だに何が起きたのかよく把握していないアリスは目を丸くしている。
「ああ、アリス、良かった…」
クロードの声が震えている。
その声と強い抱擁に、アリスはようやくクロードが落ちた自分を受け止めてくれたのだと理解した。
「旦那様、私…」
「ああ、怪我は⁈怪我はない?アリス」
「ええ……。私は大丈夫です。助けてくれて、ありがとう、旦那様」
「よかった、本当によかった…」
アリスを抱きしめる腕も声も震えているクロードに、アリスの胸には申し訳ない気持ちと、それ以上にあたたかい気持ちが広がった。
だからアリスも、クロードの首に腕を回した。
そして、彼の抱擁に負けないくらい強く、抱きついたのだ。
かくして、アリスの身体と純潔は守られた。
後にクロードはこの時のことを、『降ってきた妻』ならぬ、『舞い降りた天使』のようだったと話している。