花婿が差し替えられました
「悩んでおりましたが、これで覚悟が決まりました」
クロードが静かにそう口を開くと、自己弁護を繰り返していたルイーズも口を噤んで彼を見た。
「私は今、世界中の誰よりも守りたい人がおります。そんな私が王族の護衛騎士として生きるのは致命的でしょう。だからこの後の人生は、その守りたい人の側で生きていこうと思います」

とっくに護衛騎士の解任は決まっていたことだったが、クロードは改めて辞意を表明した。
職を解かれるのではなくて、あくまで、自分の意思で護衛騎士を辞したかったのだ。

「今までお世話になりました。王女殿下もどうぞお達者で」
立ち上がって深々と一礼すると、クロードは足早に部屋を出て行った。
王女の金切り声が延々と響いていたが、クロードはもう振り返らなかった。
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