花婿が差し替えられました
お披露目を終えて
長々と繰り広げられるパーティーの最中、新郎新婦は途中での退席を促された。
今夜は新婚の二人にとって大事な初夜の晩である。
これから二人には、まだまだ大事なイベントが待っているのだ。
部屋に戻るとアリスは侍女たちに湯に入れられ、体中隅々まで洗われた。
もう寝るだけだというのに丁寧に髪を梳かれ、綺麗に薄化粧まで施される。
「これって必要?」
首を傾げるアリスに、侍女のフェリシーは「もちろん」とばかりに大きく頷いた。
「度肝を抜いてやるんですよ!あのお坊っちゃま終始仏頂面されてましたけど、アリスお嬢様のお美しさにひれ伏すがいいわ!」
「フェリシー、そんな口をきいてはいけないわ。クロード様は私の旦那様になられるのよ?」
アリスが嗜めれば、フェリシーは唇を尖らせる。
「だって悔しいではありませんか!こんなお綺麗で素晴らしいお嬢様の婿になるのですよ?自分の幸運を喜ぶならまだしも、不満に思うなんて!」
「不敬よ?あの方は侯爵家の御令息。あちらの方が格上なのだから」
「もう婿入りしたのだからそんなの関係ありません!だいたいこんなお美しいお嬢様の隣であの男はずっと仏頂面だったんですよ⁈仏頂面‼︎信じられない‼︎」
フェリシーの怒りは収まらない。
だって最初から気に入らなかったのだ。
女癖の悪い婚約者も、それを許している侯爵家も、そしてそんな男を受け入れようとしているアリスにも。
フェリシーは十四歳の時から十年間アリスに仕えていて、この少々破天荒なお嬢様を慈しんできた。
いつも家の為領民の為に努力し続けるアリスには、誰よりも幸せになってほしいと思っている。
そしてなんとか理不尽な婚約を受け入れようとしていた矢先にこの不祥事だ。
たしかに女癖の悪い次男よりは真面目そうな四男の方がましだと思ったのは最初だけのこと。
あの四男はフェリシーが慈しんだこの素晴らしいお嬢様と結婚できることを喜びもせず、始終仏頂面を晒していたのだから。
(こうなったら眩しくて直視できないくらいお嬢様を仕上げてみせる)
フェリシーは気合いを入れて腕を振るった。
今夜は新婚の二人にとって大事な初夜の晩である。
これから二人には、まだまだ大事なイベントが待っているのだ。
部屋に戻るとアリスは侍女たちに湯に入れられ、体中隅々まで洗われた。
もう寝るだけだというのに丁寧に髪を梳かれ、綺麗に薄化粧まで施される。
「これって必要?」
首を傾げるアリスに、侍女のフェリシーは「もちろん」とばかりに大きく頷いた。
「度肝を抜いてやるんですよ!あのお坊っちゃま終始仏頂面されてましたけど、アリスお嬢様のお美しさにひれ伏すがいいわ!」
「フェリシー、そんな口をきいてはいけないわ。クロード様は私の旦那様になられるのよ?」
アリスが嗜めれば、フェリシーは唇を尖らせる。
「だって悔しいではありませんか!こんなお綺麗で素晴らしいお嬢様の婿になるのですよ?自分の幸運を喜ぶならまだしも、不満に思うなんて!」
「不敬よ?あの方は侯爵家の御令息。あちらの方が格上なのだから」
「もう婿入りしたのだからそんなの関係ありません!だいたいこんなお美しいお嬢様の隣であの男はずっと仏頂面だったんですよ⁈仏頂面‼︎信じられない‼︎」
フェリシーの怒りは収まらない。
だって最初から気に入らなかったのだ。
女癖の悪い婚約者も、それを許している侯爵家も、そしてそんな男を受け入れようとしているアリスにも。
フェリシーは十四歳の時から十年間アリスに仕えていて、この少々破天荒なお嬢様を慈しんできた。
いつも家の為領民の為に努力し続けるアリスには、誰よりも幸せになってほしいと思っている。
そしてなんとか理不尽な婚約を受け入れようとしていた矢先にこの不祥事だ。
たしかに女癖の悪い次男よりは真面目そうな四男の方がましだと思ったのは最初だけのこと。
あの四男はフェリシーが慈しんだこの素晴らしいお嬢様と結婚できることを喜びもせず、始終仏頂面を晒していたのだから。
(こうなったら眩しくて直視できないくらいお嬢様を仕上げてみせる)
フェリシーは気合いを入れて腕を振るった。