花婿が差し替えられました
一方アリスはそんなフェリシーを見てため息をついた。
(だって彼の方がずっと被害者なのだから、有り難く思わなくては)
アリスは隣室にいるだろうクロードに思いを馳せた。
あれよあれよのうちに花婿に仕立てられてしまったクロードは、やっと今落ち着いて我に返っていることだろう。
彼に考える時間も与えず式を挙行してしまったのだ。
おそらく深く後悔しているだろうし、憤ってもいるだろう。
だが、今更もう解放してやることはできない。

「まぁ、綺麗にしてもらったせいでクロード様がちょっとでもその気になっていただけるのなら甲斐もあると言うものだけど」
そう言って鏡越しにフェリシーを見上げれば、彼女は呆れたように笑った。
「お嬢様ってこんなに美しくて頭も良くてらっしゃるのに、本当に中身が残念ですよね」
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