花婿が差し替えられました
「今日はお疲れ様でした、旦那様」
声をかけながら小走りで駆け寄れば、彼は体を引き気味に振り返った。
しかしアリスを直視はせず、目を泳がせている。
どうやらクロードは、寝衣姿のアリスを見て目のやり場に困っているらしい。
(本当に、何から何までナルシスとは違うのね)
これがナルシスならすぐに押し倒されていたことだろう。
婚約中もナルシスは何かとアリスに触れたがり、そういう雰囲気に持っていきたがる彼を何度制してきただろうか。
「結婚までは」と押しのけなんとか死守してきたが、こうなってみると本当に操を守り通して良かったと思う。
クロードは一つ深呼吸をし、意を決したようにアリスの方に向き直ると、突然深々と頭を下げた。
「アリス嬢、この度のこと、本当に申し訳ありませんでした。愚兄がしでかしたこと、それからコラール侯爵家が貴女にしたこと、侯爵家を代表してあらためて謝罪いたします」
真摯に謝罪するクロードの姿に、アリスは少々驚いた。
式の最中も披露パーティーの最中の彼もずっと怒った顔をしていたから、まさか謝られるとは思わなかったのだ。
「クロード様に謝罪していただくことではありません。貴方だって被害者なのですから」
「しかし…」
俯き、唇を噛んだクロードは、再びキッと顔を上げてアリスを見据えた。
声をかけながら小走りで駆け寄れば、彼は体を引き気味に振り返った。
しかしアリスを直視はせず、目を泳がせている。
どうやらクロードは、寝衣姿のアリスを見て目のやり場に困っているらしい。
(本当に、何から何までナルシスとは違うのね)
これがナルシスならすぐに押し倒されていたことだろう。
婚約中もナルシスは何かとアリスに触れたがり、そういう雰囲気に持っていきたがる彼を何度制してきただろうか。
「結婚までは」と押しのけなんとか死守してきたが、こうなってみると本当に操を守り通して良かったと思う。
クロードは一つ深呼吸をし、意を決したようにアリスの方に向き直ると、突然深々と頭を下げた。
「アリス嬢、この度のこと、本当に申し訳ありませんでした。愚兄がしでかしたこと、それからコラール侯爵家が貴女にしたこと、侯爵家を代表してあらためて謝罪いたします」
真摯に謝罪するクロードの姿に、アリスは少々驚いた。
式の最中も披露パーティーの最中の彼もずっと怒った顔をしていたから、まさか謝られるとは思わなかったのだ。
「クロード様に謝罪していただくことではありません。貴方だって被害者なのですから」
「しかし…」
俯き、唇を噛んだクロードは、再びキッと顔を上げてアリスを見据えた。