花婿が差し替えられました
いちおう、新婚
護衛騎士へ
アリスとクロードが結婚して五ヶ月近く過ぎた。
その間、アリスは父から爵位を譲られ、名実共にサンフォース伯爵となった。
そして、爵位を譲ったら領地に定住する予定だった両親は、アリスの結婚生活を心配しながらも自領に移って行った。
それ以来アリスは秘書のラウルや家令のマルセルと共に家政を取り仕切っている。
一方クロードは、ルイーズ王女の護衛騎士に選ばれてその任に当たっていた。
ほぼ王女と行動を共にしているため王宮内で寝泊まりし、交替や非番の日でも騎士の宿舎で休んでいる。
サンフォース伯爵邸には全く戻っていないため、この五ヶ月、アリスと顔を合わせることもなかった。
「よぉ、夜勤明けか?ご苦労さん」
宿舎に戻ってきたクロードに話しかけてきたのは、騎士学校で同期だった第二騎士団所属のミハエルだ。
彼は田舎の貧乏男爵家の末子で、騎士で身を立てようと王都に出てきた若者である。
侯爵家出身のクロードとは出自はだいぶ違うが、何かとウマが合い、友人として付き合っている。
「そういうおまえは非番か?」
クロードはミハエルの格好を見てそうたずねた。
今部屋を出てきたらしいミハエルは騎士姿ではなく、いつになく小綺麗でお洒落な装いをしている。
「ああ、久しぶりのデートだからな」
ミハエルはそう言うと相好を崩した。
「なるほどな」
クロードはやたらと機嫌の良いミハエルの態度に納得する。
厳つい彼が笑顔を見せるのは、ほぼ恋人絡みの時だからだ。
ミハエルの恋人は平民で、街中のレストランの看板娘だ。
酔っ払い客に絡まれていた彼女を常連客のミハエルが助けたというベタな馴れ初めだが、元々彼がそのレストランに通っていたのは、彼女に一目惚れしていたからだ。
彼女と無事恋人同士になるまではレストラン通いにクロードも付き合わされ、閉口したものである。
それはミハエルに付き合うのが面倒とか厄介とかいう類のものではなく、街に出るたび女性に囲まれるのが嫌だったからだ。
その間、アリスは父から爵位を譲られ、名実共にサンフォース伯爵となった。
そして、爵位を譲ったら領地に定住する予定だった両親は、アリスの結婚生活を心配しながらも自領に移って行った。
それ以来アリスは秘書のラウルや家令のマルセルと共に家政を取り仕切っている。
一方クロードは、ルイーズ王女の護衛騎士に選ばれてその任に当たっていた。
ほぼ王女と行動を共にしているため王宮内で寝泊まりし、交替や非番の日でも騎士の宿舎で休んでいる。
サンフォース伯爵邸には全く戻っていないため、この五ヶ月、アリスと顔を合わせることもなかった。
「よぉ、夜勤明けか?ご苦労さん」
宿舎に戻ってきたクロードに話しかけてきたのは、騎士学校で同期だった第二騎士団所属のミハエルだ。
彼は田舎の貧乏男爵家の末子で、騎士で身を立てようと王都に出てきた若者である。
侯爵家出身のクロードとは出自はだいぶ違うが、何かとウマが合い、友人として付き合っている。
「そういうおまえは非番か?」
クロードはミハエルの格好を見てそうたずねた。
今部屋を出てきたらしいミハエルは騎士姿ではなく、いつになく小綺麗でお洒落な装いをしている。
「ああ、久しぶりのデートだからな」
ミハエルはそう言うと相好を崩した。
「なるほどな」
クロードはやたらと機嫌の良いミハエルの態度に納得する。
厳つい彼が笑顔を見せるのは、ほぼ恋人絡みの時だからだ。
ミハエルの恋人は平民で、街中のレストランの看板娘だ。
酔っ払い客に絡まれていた彼女を常連客のミハエルが助けたというベタな馴れ初めだが、元々彼がそのレストランに通っていたのは、彼女に一目惚れしていたからだ。
彼女と無事恋人同士になるまではレストラン通いにクロードも付き合わされ、閉口したものである。
それはミハエルに付き合うのが面倒とか厄介とかいう類のものではなく、街に出るたび女性に囲まれるのが嫌だったからだ。