花婿が差し替えられました
「私、外を見て参りますわ」
視線を逸らしたアリスにそう言われ、クロードは我に返った。
「いや、私が行きましょう」
クロードが馬車を降りると、馬車を脇から守っていた護衛が仔犬を抱いていた。
「申し訳ありませんでした旦那様。こいつが飛び出してきたようです。でも怪我は無さそうなので、避けておきますね」
護衛が道の脇に仔犬を置いてこようとする。
「待て。母犬はいないのか?」
「さて、捨て犬ではないですか?あの陰に木箱がありますよ」
「…捨て犬…?」
いつの間にか馬車を降りてきていたアリスが護衛に近づき、仔犬に触れようとした。
「お待ちください。仔犬とはいえ、むやみに触れては、」
そう言って遮ったのは、御者と共に馬車の前方に乗っていた侍女フェリシーだ。
「大丈夫よ。まぁ、震えているのね、可哀想に。一緒に帰りましょう」
アリスは護衛の腕から仔犬を抱き取ると、そう声をかけた。
仔犬は痩せ細って、プルプルと震えている。
「お嬢様、汚れますから私が、」
「大丈夫よ。ねぇあなた、うちの子になる?」
アリスは仔犬に優しく微笑みかけた。
再び馬車に乗り込んだアリスは、仔犬をショールに包んで大事そうに膝に乗せた。
「…飼うのですか?」
「ええ。このまま置いていくのは心配ですもの」
「…そうですか」
そう言うとクロードは目を細め、微かに微笑んだ。
(笑った…⁈)
アリスは初めて見るクロードの笑顔に釘付けになった。
しかしクロードはそんなアリスには気づかず、腕を組むと、また窓の外に目をやる。
そしてアリスは、そんなクロードを見て、ふとさっきのことを思い出した。
(思ったよりがっしりしてたわ。結婚披露パーティで踊った時は気づかなかったけど、思ったより腕も太くて、胸板も厚くて、さすが騎士様…って、私、何考えてるの⁈)
アリスは慌ててクロードから目を逸らすと、仔犬に目をやり、その頭を優しく撫でた。
視線を逸らしたアリスにそう言われ、クロードは我に返った。
「いや、私が行きましょう」
クロードが馬車を降りると、馬車を脇から守っていた護衛が仔犬を抱いていた。
「申し訳ありませんでした旦那様。こいつが飛び出してきたようです。でも怪我は無さそうなので、避けておきますね」
護衛が道の脇に仔犬を置いてこようとする。
「待て。母犬はいないのか?」
「さて、捨て犬ではないですか?あの陰に木箱がありますよ」
「…捨て犬…?」
いつの間にか馬車を降りてきていたアリスが護衛に近づき、仔犬に触れようとした。
「お待ちください。仔犬とはいえ、むやみに触れては、」
そう言って遮ったのは、御者と共に馬車の前方に乗っていた侍女フェリシーだ。
「大丈夫よ。まぁ、震えているのね、可哀想に。一緒に帰りましょう」
アリスは護衛の腕から仔犬を抱き取ると、そう声をかけた。
仔犬は痩せ細って、プルプルと震えている。
「お嬢様、汚れますから私が、」
「大丈夫よ。ねぇあなた、うちの子になる?」
アリスは仔犬に優しく微笑みかけた。
再び馬車に乗り込んだアリスは、仔犬をショールに包んで大事そうに膝に乗せた。
「…飼うのですか?」
「ええ。このまま置いていくのは心配ですもの」
「…そうですか」
そう言うとクロードは目を細め、微かに微笑んだ。
(笑った…⁈)
アリスは初めて見るクロードの笑顔に釘付けになった。
しかしクロードはそんなアリスには気づかず、腕を組むと、また窓の外に目をやる。
そしてアリスは、そんなクロードを見て、ふとさっきのことを思い出した。
(思ったよりがっしりしてたわ。結婚披露パーティで踊った時は気づかなかったけど、思ったより腕も太くて、胸板も厚くて、さすが騎士様…って、私、何考えてるの⁈)
アリスは慌ててクロードから目を逸らすと、仔犬に目をやり、その頭を優しく撫でた。